金沢大学 医薬保健研究域医学系 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

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診療分野:めまい・平衡 
 社会の多様化と発展の速さは凄まじく、心身共にのしかかるストレスに多くの人がからだのバランスを崩しています。また、高齢化が進むほどに身体機能が社会についていけない方が増えてきています。生活習慣病も解決が難しい問題です。そのような中に、からだのSOSとしてめまいを患う方が大変増えています。

 東京消防庁の報告によりますと、高齢者の自宅からの搬送要請(救急車)のうち実に7割が転倒した方だったそうです。また、60歳以上の方の3割は慢性のふらつき感を患っており、ふらつきによって骨折のリスクは健常者の4-5倍にのぼると言われています。寝た切り介護や高騰する医療費など、とても大きな問題が絡んでいます。

 耳の奥には内耳というバランスのセンサーがあり、内耳障害によるめまいは古くからよく調べられています。ところが、内耳だけに問題があるようなシンプルなめまいはむしろ少なく、複雑な生活環境などのストレスからの全身のバランスに問題があるような、複雑なめまいが年々増えてきているようです。
 

検査

 

重心動揺検査


めまいがある時には、その病態によって特徴的なバランスの崩れ方が見られることがあります。からだの重心の揺れを計測して、バランスの状態を分析します。



 

電気眼振検査


バランスの神経と眼を動かす仕組みには、とても密接なつながりがあります。からだが動くと、景色がブレないようにからだ合せて眼も動きます。まるでカメラの手ブレ防止機能のように、鮮明な視覚を維持する働きです。
バランスの神経に障害があり、嘘の動きの情報が眼に伝わると、嘘の動きに合せて眼も動いてしまい景色がぐるぐると動くことになります。この眼の動きを分析することで、バランスの神経の障害の状態を知ることができます。
 
 

診断

 

脳深部白質病変・脳室周囲高信号


近年の脳ドックの普及により、以前は単なる年齢的な変化と思われていたものが実はめまいと密接な関係にあることが分ってきています。脳の動脈硬化が原因と言われており生活習慣病との関連が問題になっています。


 

椎骨脳底動脈不全


こちらも動脈硬化による変化と言われているもので、頸をまわした時などに一時的に脳の血流が悪くなりめまいの原因となります。





 

起立性調節障害


ストレスや生活環境などによって自律神経などの働きが乱れると、全身の働きの調整がうまくいかなくなります。例えば血圧の調節が乱れると、脳などの血流が安定せずにめまいや立ちくらみを起こすことになります。また暑い季節などに水分が不足すると、脳に送る血液の量も足りなくなりめまいの元となります。


 

内耳障害によるめまい


耳の奥の内耳というところにあるバランスのセンサーや、そこから脳に伸びる神経に障害があるとめまいを起こします。メニエル病や前庭神経炎など一般の方にも有名なめまいが含まれますが、めまい全体の中ではそれほど多いものではありません。