金沢大学 医薬保健研究域医学系 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

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研究室紹介 [各分野紹介:耳] 
 

研究室紹介「世界に通用するリサーチを」


 主要な研究テーマは、上咽頭癌では「Epstein-Barrウイルスとの関連および転移機構」、頭頸部癌では「転移機構」「新規化学療法」、嗅覚では「嗅覚障害の他覚的診断」、神経耳科では「感音難聴モデルを用いた神経可塑性研究」「顔面神経モデルを用いた神経修復機構」などです。これらの研究の成果は、ハイレベルの英文学術誌に数多く発表されています。
 

耳科学分野


 耳科学分野においても、得られた成果が実際の臨床に還元可能なテーマを理想としています。また臨床医だけが可能な研究として、難治性疾患の新しい治療法の開発に結びつくような臨床研究を重視して医師主導の臨床試験を推進しています。
 
 

1. 耳小骨連鎖異常症例に対する簡易非侵襲診断機器の開


  耳小骨連鎖異常を伴う中耳疾患は主に耳小骨離断と耳小骨固着に分類されます(右図)。それぞれに聴力改善手術が存在し、その手技と難易度は大きく異なります。したがって術前に病態を把握することは手術を成功させるために極めて重要な問題であります。しかし現状では純音聴力検査,ティンパノメトリー,耳小骨筋反射などの機能検査とCTによる画像診断等を組み合わせて中耳疾患の診断を行っていますが,既存の機能検査では疾患部位の特定は困難であり,また中耳系をなす耳小骨のサイズが小さいことから現状のCTの解像度では診断が困難です。したがって術前に正確な病態を把握できないため、最終的には麻酔下に鼓室を開放し耳小骨の状態を直接確認することが確定診断の唯一の方法となっています、当教室の耳班は、既存の検査では診断に至れない耳小骨連鎖異常症例に対する独自の中耳疾患診断器機を開発することで、一人でも多くの難聴患者の治療に貢献したいと考えています。
金沢大学 理工研究域フロンティア工学系 生体機械工学研究室(村越研究室)との合同研究により、中耳動特性を測定する装置 Sweep frequency impedance (SFI) meterを独自に開発し,中耳疾患の診断に有効であることを確かめてきました[1,2]。さらに2020年度には,当該技術を基盤とし,より短時間で高精度に計測可能なwideband frequency impedance (WFI) meterを新たに開発しています。これらの検査はマイクとイヤホンを内蔵するプローブを耳に挿入し、外耳道内静圧制御下に周波数掃引音もしくは疑似雑音を加え,その時の外耳道内音圧の変化を計測するものです。
 
図1a,b.WFI/SFI計測の概要.マイクとイヤホンを内蔵するプローブを耳に挿入する.外耳道内静圧制御下に,疑似雑音もしくは周波数掃引音を加え,その時の外耳道内音圧の変化を計測する。

参考文献
[1] Murakoshi et al., Int J Pediatr Otorhinolaryngol 77:504-512, 2013.
[2] Kanka, Murakoshi et al., Int J Pediatr Otorhinolaryngol 134:110061, 2020.
 

2.腎コロボーマ症候群における聴覚障害の解明


 腎コロボーマ症候群は、先天性腎尿路奇形とコロボーマ(正常眼球組織の一部を欠損するもの)を合併する常染色体優性遺伝疾患です。腎症状は、腎低異形成、膀胱尿管逆流、重い例では末期腎不全に至るなど、また眼症状は視神経欠損症、視神経異形成、小眼症等の報告があります。PAX2遺伝子のヘテロ変異により発症し、腎・眼症状の他、感音難聴やアーノルドキアリT型奇形、靱帯弛緩や発達障害を合併する例の報告があります。聴覚障害については、7%程度の患者に合併するとの報告がありますが、その聴力障害の程度や障害のタイプについてはこれまでにその詳細は明らかになっていません。現在この極めてまれな腎コロボーマ症候群における聴覚障害の詳細について当院腎臓内科と共同研究を行っています。
 

  • 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 専門研修プログラム
  • 金沢大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 同門会(かこう会)
  • 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 専門研修プログラム
  • 金沢大学 大学院医学系研究科 医薬保健学域医学類
  • 金沢大学附属病院
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